何よりも先に、今すぐ銀行に電話を入れてください。送金に使った銀行か、お金を受け取った側の銀行に、振込先口座の支払停止(지급정지)を申し出ます。詐欺グループは数分のうちにお金を動かしてしまい、停止で凍結できるのは口座にまだ残っている分だけです。そのうえで警察に被害を届け出ます。順番が肝心で、銀行への電話が最初、警察への届出がその直後、そして銀行から求められた書類は手に入りしだい提出、という流れになります。
銀行への電話で、伝えるべきことは?
韓国の銀行の多くは詐欺の通報を受け付ける電話窓口を設けており、英語で応対できる銀行も一部にあります。韓国語しか通じない窓口であれば、韓国語の話せる友人に通話へ入ってもらうと安心です。手元に次の情報をそろえておきます。
- 送金先の銀行名と口座番号
- 一回ごとの送金額と時刻
- ご自身の口座番号と、在留外国人のIDカード(외국인등록증)の番号
- 詐欺犯が使った電話番号、またはメッセンジャーで名乗っていたID
伝え方は単刀直入で構いません。「ボイスフィッシング(보이스피싱)の被害です。受取口座の支払いを止めてください」。何回かに分けて送った場合や、振込先が複数の口座にまたがる場合は、送金を一件残らず挙げます。どの書類をいつまでに持っていけばよいかは銀行が案内してくれます。その期限はかなり短いので、通話中にメモを取っておかないと間に合わなくなります。
届出先はどこですか?
| 届出先 | 理由 |
|---|---|
| 警察:112番、または最寄りの警察署(경찰서) | 刑事事件としての届出と、銀行が提出を求める確認書類の発行 |
| 金融監督院(금융감독원):1332番 | 詐欺の通報窓口。銀行に電話がつながらないときは支払停止も手助けしてくれる |
| 取引先の銀行の支店 | 警察の確認書類を添えて、返還の申請書を出す場所 |
警察では、事件を届け出たことを示す書面(사건사고사실확인원)の発行を頼みましょう。銀行は一般に、これがないと返還の手続きを先へ進めません。韓国語が苦手なら、供述を始める前に通訳人をつけるよう申し出るのが得策です。電話の中身を正確に説明することは重要で、とりわけ相手が誰を名乗り、何をせよと指示したのかが大事な点になります。
詐欺犯は外国人にどんなことを言ってきますか?
外国人住民を狙う台本には、相手の在留資格を逆手に取るものが多く見られます。
- 「入管の者です」。 罰金を払うか、預金を「安全口座」へ移さなければ、ビザが取り消される、あるいはあなたの登録カードが犯罪に使われた、と脅してきます。
- 「検察庁です」。 あなたの口座が資金洗浄に関わっているので、お金を送らせて「確認」する必要があると言い張ります。
- ビザやローンの代行業者。 ビザの延長、より有利な種類への切り替え、銀行に断られたローンの承認などを口実に、前払いの手数料を取ろうとします。
- 仕事を紹介してくれる同郷の人。あなたの母語で連絡してきて、のちに保証金や口座の情報を求めてきます。
- メッセンジャーアプリ上の海外の親族。「番号が変わった」と言い、至急の送金を頼んできます。
官公庁が電話で個人の口座や「安全口座」への送金を求めることはなく、スマホを守るためと称してアプリの導入を指示することもしません。どちらか一方でも耳にしたら、迷わず通話を切りましょう。
お金は戻ってきますか?
一部なら取り戻せる見込みはあるものの、うまくいかない場合もあります。電話やメッセージを使う金融詐欺に関する特別法が、被害金の返還手続きを設けています。支払停止のあと、銀行と金融監督院が手続きを進め、凍結されたお金に対する口座名義人の権利を消滅させたうえで、それを被害者に支払うことができる仕組みです。ただし制約が三つあります。
- 戻る対象は、凍結された口座にまだ残っているお金だけです。詐欺グループがすでに引き出したり、ほかへ移したりした分は、この手続きの範囲外です。
- 同じ口座に何人もが送金していた場合、残高はその人たちの間で分けられます。
- 振込ではなく「回収役」に直接手渡した現金は、銀行の手続きには乗りません。それでも警察への届出は省かないのが賢明です。
公告や待機の期間を経る手続きなので、数日では済まず、数週間から数か月の単位になると見込むのが現実的です。
誰かを相手に訴訟を起こせますか?
詐欺を仕組んだ人物は民法上の損害賠償責任を負いますが、たいていは正体がわからないか、韓国の外にいます。より現実的な相手は、受取口座を自分の名義で開いた人であることが多いでしょう。不法な行為を手伝った人は共同の加害者として扱われるため、銀行口座を不用意に他人へ渡した名義人に、被害の一部を支払うよう命じた裁判例も出ています。ご自身の事案でそれが通るかどうかは、名義人の認識、つまり事情をどこまで知っていたか、あるいは知り得たはずかで決まります。損害賠償の請求は、損害と加害者を知った時から3年、どんな場合でも行為の時から10年が過ぎると、時効によって行使できなくなります。
有効なビザがないまま、警察に届けても平気ですか?
詐欺の被害にあったという事実は、国外退去の根拠にはなりえません。本当の心配は、警察があなたの情報を入管に伝えることでしょう。公務員は、出入国の法令に背いた外国人に気づけば通報する、という一般的な義務を課されています。もっとも、規定には例外もあります。詐欺を含む特定の犯罪を捜査している最中に、被害者を救うことが先決だと担当者が考えた場合には、通報を見送ることも許されているのです。判断は一件ずつ担当者に委ねられ、確実な保護とまでは言い切れません。そのため在留資格に不安がある方は、届け出る前か届け出る時点で助言を受けてください。ただし届出そのものは先送りしないこと。支払停止は待ってくれないのですから。
ほかに今日のうちにすべきことは?
- 電話の相手に言われて入れたアプリは削除する。 その後、銀行のパスワードと暗証番号を変更します。可能なら別の端末を使うのが安全です。
- 登録カードやパスポートの写真を送ってしまったなら、銀行に知らせる。 個人情報が流出した状態(개인정보 노출)として登録してもらい、あなたの名義で新たな口座や融資が作られないよう、止めるか確認する扱いにするよう頼みます。
- 証拠を保存する: 通話履歴、SMS、詐欺犯の番号、チャット画面を撮った画像、すべての送金の控えです。
- 手数料を取って「被害回復」を請け負うという人は相手にしない。 支払いと引き換えにお金を取り戻すと約束する人が、実は同じ詐欺の第二段階だというのはよくある構図です。
次にすること
すでに支払停止を申し出ているなら、警察の確認書類と送金の控えを一つのフォルダにまとめ、銀行の期限に間に合わせてください。身元のわかる人の口座に多額のお金が渡った場合や、在留資格が気がかりで届出をためらっている場合は、民事の請求が現実的かどうかを弁護士がお伝えできます。ご相談は有料です。お問い合わせいただくと、担当者から折り返しお電話し、費用についてご説明します。
법무법인 대한중앙
1533-7377
適用される規定
民法(민법)第750条(不法行為による損害の賠償責任)、第760条第3項(不法行為を幇助した者は共同不法行為者とみなされる)、第766条第1項および第2項(損害と加害者を知った時から3年、行為の時から10年)。刑法(형법)第347条(詐欺)。出入国管理法(출입국관리법)第84条第1項(公務員の通報義務と、大統領令で定める例外)、同法施行令第92条の2第5号および同法施行規則第70条の2第1号(例外が適用されうる職務として詐欺の捜査を挙げる)。条文を示さずに挙げたもの:電気通信金融詐欺被害防止および被害金還付に関する特別法(전기통신금융사기 피해 방지 및 피해금 환급에 관한 특별법)(支払停止と返還)、電子金融取引法(전자금융거래법)。
一般的な情報であり、法的助言ではありません。事案ごとに事情は異なります。
